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導入事例紹介

日通がフォーク用ドラレコを初導入 映像による安全教育効果に注目

日本通運株式会社 熊本支店 様


危険な運転の映像を記録 キックオフ会で高性能を実感

  日本通運(株)熊本支店・熊本総合物流事業所  日本通運(株)熊本支店・熊本総合物流事業所(写真①)で11月14日,SRForklift N(セイフティレコーダ フォークリフトN,以下SRフォークリフト)のキックオフ会が開催された。 同支店にSRフォークリフトが導入されたのを機に,開発・発売元の(株)データ・テックが開いた講習会だ。同社の横田裕未氏が講師となり,フォークリフト専用ドライブレコーダーとしての製品紹介から運転診断の仕組み,業務管理日報の読み方などを説明した。さらに,記録データをノートPCに取り込んで,実際に運転診断をしたり,危険運転の映像を確認するなどの作業も実演された(写真②)。

キックオフ会の様子  手際よく説明が進む中で,参加者の関心を特に集めたのが危険運転の映像(図表1)だった。 SRフォークリフトは,急加速や急減速,急旋回など「注意すべき挙動」が発生した場合,発生前後の映像を記録するので,その挙動を詳細に確認できる。 スクリーンに映像が映った瞬間,参加者からどよめきが起こった。 映像の鮮明さ,注意挙動の瞬間を捉えた的確さに,一様に驚いた様子。映像を注視するその姿からは,SRフォークリフトへの期待感の高まりが見て取れた。

フォークリフト指導員が導入効果を検証,トラックでの実績が導入の後押しに

リーチ式フォークに取り付けたSRフォークリフト  SRフォークリフトの導入は,熊本支店で初めてなのはもちろん,日通グループとしてフォークリフトにセイフティレコーダを本格的に設置するのは初の試みとなる(写真③)。既にトラックに関しては,運行管理システムの中で約12,000台以上のセイフティレコーダが活躍中だ。海外でもベトナム日本通運で130台のトラックに導入済み。ベトナムでは,取得したデータを元に燃費向上と安全運転の指導を進めている。2020年12月末までに合計1,778tもの二酸化炭素排出量を削減できると試算しており,国の「二国間クレジット制度(JCM)」の登録プロジェクトにも採択されている。この制度は途上国への温室効果ガス削減における日本の貢献を定量的に評価し,日本の削減目標の達成に活用するものだ。
 そうした実績を踏まえ,データ・テックから提案を受けた同社は4月,伊豆研修センターに全国のフォークリフト指導員を集め,その実用性について検証を行った。その結果,「フォークリフトの挙動が深く分かる」「オペレータの運転特性が細かく見える」といった高い評価を得て,導入を決定した。SRフォークリフトは加速度計やジャイロセンサーを備えており,速度・加速・減速・旋回・バック操作の状況を詳細に記録。運転診断として点数評価することができる。「注意すべき挙動」を映像で記録できるのは前述の通りだ。
 伊豆研修センターでの検証結果をさらに実際の物流現場で試そうとしたところ,最初に手を挙げたのが熊本支店だった。同支店に限らず,日通ではフォークリフトの安全教育に全社的に取り組んでいる。グループ企業も含めた共通のフォークリフト安全運転対策として「安全運転操作の基本(運転時の5原則)」を以下の通り定め,毎日の朝礼でオペレータが確認するなどしている。
①出すなスピード
②絶対するな急旋回
③荷物の前で一旦停止
④進行方向への100%指さし呼称
⑤人を入れるな作業半径
 また,KYT(危険予知トレーニング)も毎日実施している。教材として使うのが事故の場面を想定した写真だ。全社共通のデータベースから写真をピックアップして使う。この写真は全国の支店が日々蓄積している。各支店が各々で実際の作業環境に近い写真を選び,オペレータに見せてどこに危険が潜んでいるか考えさせる訓練だ。

オペレータの自主性を育てる ブザー機能で運転中にも改善

「注意すべき挙動」の再生画面
 今回のSRフォークリフト導入に当たって,熊本支店がメリットとして考えているのは,客観的な振り返りだ。同支店の高松浩一業務課長は「5原則を励行していても,オペレータが自分自身の運転状況を確認する方法が今までありませんでした。管理者も作業現場を1日中見渡す訳にもいきません。そうした確認が映像を見ることで可能になると思います」と語る。SRフォークリフトは,急挙動の映像を注意書として印刷する機能を持っていることから,KYT(危険予知トレーニング)の教材の蓄積をさらに増やすことが可能だ。また,安全指導の理解を深める面で熊本総合物流事業所倉庫課主任の平川重久指導員は「言葉の説明だけでは理解できないこともあると思います。映像があればより実践的で具体的な指導ができます」と期待を寄せる。
 事故原因の究明にも有効だ。高松課長は「幸いにも人身事故は起きていませんが,貨物の破損事故が時々あります。SRフォークリフトがあれば,破損させてしまった場面を実際に見ることができます」と語る。従 来は事故原因をオペレータにヒアリングしても「おそらくこうでなかったか」と,推測の範囲を出なかったが,事故場面の映像があれば,実際の動きを映像で検証できるわけだ。
 そしてもう1つ,オプションで追加した注目すべき機能に「ブザー」がある。センサーが急加速などの危険運転を感知した際に音を出して知らせるものだ。平川指導員は,今回の導入に先立つ試行段階での実感として即効性の高さを指摘する。「ブザーが鳴れば,同じような作業する時に『ここは控え目にしよう』と改善できます。ハンドルをここまで切っても大丈夫,これ以上切ったら鳴るといったことを積み重ねて,乗り方が徐々に変わっていくと思います」と,今後の改善効果に言及する。
 今回の導入では,カウンター式とリーチ式にSRフォークリフトを設置した。今後,両方式の運転特性を踏まえて,ブザーや減点の対象となる挙動の「しきい値」を調整するなど,運用改善に取り組んでいく考え。
 高松課長は,「設置することが目的ではなく,これから安全を向上させるべく,この機会を有効に活用していきたい」と展望する。日通本社は全社的なSRフォークリフト導入も視野に,熊本支店の取り組みをバッ クアップしていく意向だ。

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